Hunting High and Low.

「え──」
 ぽかんと、まるでこの出来事が信じられないと、キャスターの表情が語っていた。薄れていく己の体を見下ろし、一度主の顔を見つめ、もう一度消える体を見下ろした。そうしてから今にも泣き出しそうな表情を作ったキャスターは、一言も口にしないまま消え去った。
「いい心がけじゃない」
 遠坂凛がぼうっと呆けていた顔に一際早くキリッとした表情を戻して、髪をかき上げながら言った。
「セイバー、ライダーをお願い」
「……わかりました。行きましょうシロウ」
「待ってくれセイバー。俺は助けを呼ぶ」
「じゃあ綺礼に頼みなさい。番号は教えたでしょ」
「聞いた。それと遠坂」
「はあ……ったく、わかってる。殺さないわよ」
「ああわかった。信じるぞ」
 最後に何か言いたげに志貴を一瞥してから、士郎は教室から駆け出していった。
「さて、じゃあ廊下に出てくれる? 抵抗なんてしないで。何も殺そうってわけじゃないんだから」
 凛は背中を見せて廊下に出る。志貴はぼうと突っ立ったまま、その後姿を見送った。
「行け。ここで戦うわけにはいかないだろう」
 アーチャーが無表情に言う。こくりと頷いて、志貴も廊下に出る。廊下にはライダーとの戦いの傷跡が色濃く残っていたが、それも当然だった。志貴が今まで死闘を繰り広げていたのだ。窓ガラスは割れ、ライダーが刻んだ床には大きな亀裂ができていた。だがつい数秒前まで戦っていた自分を思い出せず、志貴は小さくため息を吐いた。
 全てがぐちゃぐちゃだった。死の線のせいか。それともキャスターの手酷い裏切りに、参っているのか。両方だと志貴は自答した。長時間死を見すぎたことで脳味噌は壊れかけのラジオの如くノイズ混じりで、キャスターが人を食っていたという事実でノイズは視界にまで広がっている。真っ暗だ。前が見えない。右も左も上も下も見えない。知っている、これは貧血のときと同じだ。
「顔が真っ青よ。遠野志貴さん」
 凛の澄んだ声が、志貴を立ち戻らせる。しかし視界は真っ暗のままだった。汚泥に顔面から飛び込んだような視界。目を凝らせば何かが蠢いている。
「……俺の、名前を?」
「衛宮くんが言ってたから」
「ああ……そっか」
 一成が士郎に紹介していたのだと思い至る。士郎と凛が協力関係にあるなら、知っていて当然だった。士郎が言わなかったとしても、あの少女──セイバーが言うだろう。
 志貴は眼鏡を付けた。最早魔眼に用は無い。視界に渦巻いていた反吐の出る死の線が消えていく。ノイズが薄れていく。それでようやく人心地ついた志貴は、ため息もそこそこに両手を広げる。その様は殺してくれと言わんばかりだった。凛が眉をしかめる。
「殺してくれってこと?」
「いや──」
 志貴は首を振る。無表情だった顔に僅かな感情の色が差した。暗い感情の色が。
「──死ねないんだよ」
 にこりと、屈託なく志貴は笑う。その笑みを見て、凛は唇を噛んだ。目が笑っていないことに気付いたからだった。眼窩には底なし沼のように虚ろな穴が広がっていた。絶望に塗れている目だった。今まで青かったものが黒くなったせいかもしれないが、とにかく凛は汚物を見る目でじっと志貴を見つめて、小さく息を吸った。
「どういうこと」
「言ったとおり、死にたくない。だから、きみかそのアーチャーを倒したい。逃がしてくれるってんなら嬉しいけど──」
 顔は笑っているが瞳に反応が無い。ただ惰性で返答しているだけという感じ。薄気味が悪い。まるで生気を感じない。いくつもの理性が混濁している異常。遠野志貴の感情と理性と本能が全てまるで別のベクトルに向けて伸びているような。
「──どうするんだ?」
 志貴が問うてくる。凛は改めて志貴の顔を注視してみた。肌は土気色。唇は真紫。眼窩は落ち窪んで、これが魔術の人形だといわれても信じるほど、人間の色が欠落している。
「どうするもなにも──」
 右手を突き出す。正しくは人差し指を。文字通り、人差し指で志貴を指差して、
「とりあえず風邪引いてもらうから……」
 ガンドと呼ばれる呪いを打ち出す。黒い病魔術の塊。遠坂凛という優秀が本気で打ち出せば、それは最早呪いではなく質量を持った兵器になる。人一人殺すくらいのことはわけないのだ。ただし、今回は手加減してある。掠れば風邪。直撃で立っていられなくなる程度。
 指先から放出される呪いの塊。それは弾丸の速度を以って志貴に飛び掛る。ガンドが飛ぶ一瞬の間隙、そこで凛は志貴を見た。目に飛び込んできたのは蒼い瞳。美しい、何らかの魔眼。
 ──メガネを?
 外していた。悲しげな微笑を無表情に変えて、遠野志貴はナイフを握っていた。短い。サーヴァントと戦うにはあまりにも頼りない武器を、自分目掛けて飛んでくるガンドに突き立てる。物質を、架空要素に突き立てたのだ。ただ、それだけでは無駄だ。魔術は魔術で以って初めて相殺される。あのナイフに対魔術の属性が付加されているか、或いは遠野志貴自身に強い耐魔力がなければならない。
 だが、凛のそんな思惑とは裏腹に、呪いが霧散する。消えた。僅かな残滓も残さずに。まるで初めからなかったように魔術は殺された。故に、理解不能の現象だった。指の一本も動かせないような顔をしていながら、弾丸よりも早く動いた不可思議。そして魔術の弾丸を消すという異状。果たしてそれは、人間の業か。
 志貴が駆け出した。
「凛、退け! 早くしろ」
 アーチャーも油断することがあるらしい。逼迫した叫び声を聞きながら思った。
 立ち位置が悪い。非常に悪かった。凛は先に教室を出て、志貴はアーチャーに押されるように出てきた。だから、風のように突進してくる志貴と凛の間には、何の障害も無いということ。
 アーチャーもまた風になっていた。しかし間に合わない。何故なら、志貴のほうが速い(........)
 何故矢を射ないのかと疑問に思ったが、その答えはすぐに見つかった。これも立ち位置。アーチャーが矢を射て、万に一つ志貴に避けられた場合、直撃を受けるのは自分なのだ。
「アーチャー……」
 決死の形相のアーチャーと無表情の志貴を見比べる。あのアーチャーが人間らしく見えるなんてことが信じられなかった。いつも皮肉ばかりで冷たいように見えるけど、アーチャーにはちゃんと感情がある。笑うし、怒る。冗談を言うことだってある。でも、遠野志貴にはそれがない。ただ、眼前の標的を狩るためだけの、殺戮機械。
 ──なんだこれ。
「ふざけないで……」
 ──こんなインチキ。
「認めない」
 顔が熱くなる。こんなやつに殺されてたまるかと打開策を模索した指が、ポケットの中の宝石に当たる。それを全身全霊で開放すれば、間違いなく志貴は殺せるはずだ。けれどヒートアップした感情とは裏腹に、魔術師としての遠坂凛は退けと命じていた。今は魔術師としてここに立っている。ならば優先されるべきはそちらだ。
 右手をポケットから出して、後ろに力いっぱい飛ぶ。そうしながら左手を再び志貴に向けて、戦闘機の機銃掃射のようなガンドを撃った。凛にしかできない、凛以外はしようとしないガンドの使用法。効果は絶大だ。志貴は体を捻って避けようとするが、足がもつれたのか体を大きく前傾させた。その上を運良く(...)ガンドが通り過ぎ──。
「な、んで」
 加速する。地面に鼻を擦りそうなほど体を折って、なぜかそんな体勢で志貴は加速した。それは人間業じゃない。神業でもない。それはただ劣悪で、どうしようもなく下劣で、吐き気を催すほどの外道。
 今から魔術で体を強化したところで、焼け石に水。あの速度から逃れる自信はどこにもない。かと言って打ち合う力など元よりありはしない。ライダーと互角に戦うようなやつと渡り合える人間など居ない。
 ポケットの中を弄る。宝石を握る。数に限りがある凛の隠し玉。Aランクの魔術を予備動作無しで打ち出せる秘密兵器。
 人間相手に使うのか──。
 心の中で誰かが呟いた。そうだ、使う。出し惜しみはできない。出せば志貴は粉々だろう。けれど出さなければこっちが死ぬ。こいつは、狂人だ。
「図に乗るな、小僧」
 凛が宝石を取り出したのと、アーチャーの底冷えする声がしたのは同時だった。凛は咄嗟に顔をあげ、僅かに意識を逸らした志貴の視界から逃げるように横に跳んだ。
 アーチャーが双剣のうち片方を思い切り投げたのだった。ブーメランのように飛ぶそれは風切り音をたてながら志貴に向かって飛んでいく。志貴は低く落としていた体勢から一転して、大きく飛び上がる。減速なんかしない。むしろ更に加速したようにさえ見える。空しく空を斬った剣が窓ガラスを割って外に飛んでいった。
 志貴は床を蹴り、地面を蹴り、天井を蹴る。リズムを刻むように、一片の曇りも無い動き。サーカスを間近で見ているような不思議な気分を、しかし凛は改めた。蹴った天井は凛の真上だった。獣の炯眼。うっすらと輝いてさえいる瞳に、真上から睨まれる。
 ──やば。
 逃げられない。右に飛んでも左に飛んでも前も後ろも、どこに跳んでも遠野志貴はついてくる。今ここで脳天を突き刺されるのが先か、少しでも抵抗してアーチャーに敵をとってもらうか。
 そんなことを考えているうちにも、志貴は目にも留まらない速度で落ちてくる。蒼い瞳がじっとこちらの急所を見つめている。ぞわりと、左胸の少し下が疼いた。
「図に乗るなと、言ったろう」
 凛と志貴の間に隔たりが生まれる。薄桃色の花びら。凛を守るように、志貴の落下を防ぐべく展開される楯。
「──ッ」
 妙に温かみのあるそれを見て、志貴の土気色の肌に色が差したような気がした。瞳が戦慄いた気がした。
 志貴の足が空中で動く。窓ガラスを蹴って、志貴は軌道を変えた。遠く、十メートルほど離れて志貴が着地する。ひらひらと、紙が落ちてきた。
「無事か」
 もう目の前。少し手を伸ばせば届くところにアーチャーの赤い外套が翻っていた。志貴が軌道を変えたのは何も凛を助けるわけではない。アーチャーが迫っていたから、それから逃げただけ。
「大丈夫。びっくりしたけど」
 一瞬、まさか見逃そうとしたのかなんて、そんなことを思ってしまった自分に眩暈を覚える。
「君は下がっていろ。矢張り人間だなどと思わないほうがよさそうだ」
「中途半端に人間だから大変なのよきっと……」
「何か言ったか?」
「あいつ、狂いきれてないって言ってんの。キャスターに操られてるにしても、おかしい」
 アーチャーはふむと唸って、
「それはまた後にしよう。殺すぞ。文句はあるまい」
 片手に白い剣を持って、走った。その後姿を見つめながら、何てバカなことを言ったのかと、再び眩暈を覚えた。
 人を殺そうってときに、あんな捨てられた猫みたいな顔をするなんてのは卑怯だ。
 なんで私が罪悪感なんて感じるのだろうかと、凛は腹立ち紛れに地面を叩こうとして、先ほど落ちてきた紙に気付いた。それを摘み上げる。
「写真──?」
 それは写真だった。『志貴さんの』と水でこすれたような汚い字で書かれた裏。ひっくり返してみると、そこには如何にもなお嬢様が写っていた。赤い髪の少女が、今自分を殺そうとした志貴と一緒に。他にも二人写っている。双子だった。笑顔の割烹着と照れ笑いのメイド服。その二人に挟まれるようにして、遠野志貴と少女が写っている。
 志貴は笑っていた。心底楽しそうに。幸せそうに。隣の少女は頭に志貴の手を置かれて、気恥ずかしそうに俯いている。家族か、恋人か、どちらにしろ、あまりにもその光景が日常に過ぎたから。あの鬼のような人間と、同一には結びつかなかった。
「何があったか知らないけど。未練たらたらってことね」
 そんなものを後生大事に持ち歩いていて、この変わりよう。そう考えれば可能性というのはひどく限定されてくる。たとえば一緒に写っている女性のうちの誰か、或いは全員が事故にあってしまったとか、殺されてしまったとか。それで聖杯を求めた。ありそうなことだ。想像するだに悲しい出来事でもある。だが、人を傷つけていい免罪符にはならない。
「許すつもりは無い」
 自分で確認するように呟いて、凛は立ち上がった。
 ちょうど、窓から飛んでいったはずの黒い剣に、遠野志貴が貫かれる瞬間だった。惹かれあう夫婦剣。吹き上がる鮮血。明らかに致命傷。深々と、あの巨大な短剣が突き刺さっているのだから、無事はありえない。けれど、志貴は立っている。
 彼を支えるのは途轍もなく強大な精神力か。凛は手の中の写真を見下ろした。恥ずかしそうに俯く少女。同い年くらいのその少女が、ふと自分に重なって見えた。



***



 胡散臭い神父の嫌味も耳に入らないほど、上階から聞こえてくる音に気をとられていた。
「……頼んだぞ」
「それが私の仕事だからな」
 まだ何か言おうとしている神父の声をさえぎって、士郎は受話器を叩きつける。椅子にもたれかかって昏倒している男性を床に寝かせる。何かと厳しい生徒指導の教諭も、こうなってしまえば形無しだった。
「……くそ、慎二のやつ」
「シロウ。ライダーは恐らく撤退しました。先ほどまで微かに気配が残っていたのですが、今は跡形も無い」
 セイバーが頭上を見仰ぎながら言った。本来物音一つないはずの校舎が、ぎしぎしとたわんでいるようにさえ感じられる。アーチャーの繰り出す一撃一撃が空気を打ち震わせる。あるいは、遠野志貴の攻撃が。
「加勢しますか、凛に。相手はライダーと互角に渡り合っています。万が一もあり得なくは無い」
「そういえばセイバー」
「なんですか」
「この前学校に遠野志貴が来たとき、怖い顔してたけど、あの時わかってたのか?」
 セイバーははてと首を傾げたあと、小さく首を縦に振った。
「マスターだということはあの時点で解っていました。この街に今存在する魔力を帯びたものは大抵がマスターです。それに、彼は私を見て怯えた。サーヴァントだとわかったからこそ怯えたのでしょう。そういったことから、彼がマスターであるという確率は非常に高かった」
「それはその日の夜に聞いたろ。そういうことじゃなくて、志貴がとんでもなく強いやつだってことがわかってたのかなって」
 職員室から出ながらセイバーに返す。セイバーはもう一度黙り込んで、一際大きな剣戟音に顔をあげた。何かを憂慮するような、険しい表情。先ほどからセイバーはずっとこんな顔をしている。
「アーチャーと打ち合えるほどとは思っていませんでした。キャスターの魔力援護あってのものですが、それにしてもライダーやアーチャーと互角を演じるほどの効果を得られる者はそう居ない。己の限界を知り、更にその先があることを理解していなければ魔力による援護など無駄ですから」
「……確かに。体の動かし方を知らなきゃ強化なんて意味が無い」
「そうです。それに、サーヴァントが殺すという行為に徹底した場合、人間は絶対に勝てない。凛という卓越した魔術師が本気でサーヴァントを倒そうとしたところで、私にはそもそも魔術が通用しない。ランサーを相手取れば瞬きをする間も無く殺されるでしょう。ただ、あの少年は違う。あの時、彼に初めて睨まれたとき、恐怖を覚えたのは彼であり私でもあった」
 見上げる視線が怒りを孕む。屈辱に揺れる瞳を呆然と見つめて、士郎が思わず立ち止まる。
「セイバーが?」 
 彼女が恐怖したとは思えない。仮にも魔術使いである士郎は何も感じなかった。瞳に嫌なものこそ感じたものの、他はまるで一般人と変わらない。
「寒気を覚えたのは久方ぶりです。バーサーカーとて、あそこまで薄気味の悪い気配は持っていない。確信ではありませんが、嫌な予感がします」
 言って、セイバーが何か決意したように振り向いた。階上からは音が消えている。あれだけ激しかった剣戟の音が僅かにも聞こえない。強化した耳にさえ、足運びの布擦れの音一つ聞こえない。だが、校内を包む空気は明らかに変質していた。世界が挿げ替えられたような違和感。
 激しい動悸を覚える。吐き気を覚える。この感覚を知っていると、脳髄が喚き散らした。
「やはり行きましょうシロウ。この魔力量……」
「何か起きてる……」
 半ば押されるようにして、階段を駆け上がる。胸の中は信じられない思いでいっぱいだった。同時に嫌な予感も漂ってくる。セイバーは嘘をつかない。話すのはいつも真実だ。彼女が無理といえばそれは無理で、できるといえばどれほど無理に思えてもできる。その彼女が怖気づいたと聞けば、萎縮しない理由は無い。唐突に、凛を置き去りにしたことが心細く感じられたのだ。
「……急ごうセイバー」
 足に力を篭めて、一段飛ばしで階段を駆け上がる。目指すのは三階。祈るような気持ちで一階分駆け上がると、むっとした空気が体を包んだ。背筋がずきんずきんと音を立てて痛み始める。この先を見るなと脳が勝手に命令を送ってくる。それがアーチャーの鋭い殺気だと理解するや廊下に飛び出して、崩壊しかけた校舎の様相とは裏腹、外れた予感に胸を撫で下ろす。
「セイバーか、ライダーはどうした」
 アーチャーはまったくの無傷でこちらに背を向けていた。アーチャーの後ろには凛が控えている。志貴を探そうとして、しかしその手間は省けた。アーチャーの赤い外套の向こうに赤い血溜まりが覗いている。その中央で、志貴がうつぶせに仰臥していた。ぴくりとも反応せず、血の中に顔を埋めていた。服は真っ黒に染まり、破け、砕けた骨が太ももから突き出している。
「言峰に電話してるうちに逃げられた。それよりおまえ──」
 セイバーのかわりに答える。アーチャーはほうとため息を吐いた。
「貴様のたわごとを聞いて殺してはいない。これから腕を切断するが、それはかまわんのだろう?」
 アーチャーは振り向き、士郎を嘲笑うようにして言った。その冷笑が引きつっているのに気付かない者はいなかった。何かがあった。アーチャーをして恐れるほどの何かが起きたのだ。
「待ってアーチャー。ちょっとそいつ、聞きたいことがあるの。今腕斬ったら死んじゃうから、うちに連れて行くわよ」
「承知した。すまないがセイバー」
 アーチャーがセイバーを見つめる。
「こいつを一人で運ぶのは危険だ。手伝ってくれ」
 そんな物言いは、頭でも打ったのかと思わずにいられないくらい、アーチャーらしくなかった。
 




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